有川浩氏のデビュー作で第10回電撃小説大賞“大賞”受賞作です。受賞作は文庫で刊行されましたが、その後、ハードカバーの単行本で再刊行されています。 受賞から文庫、単行本に至る変遷は、単行本のあとがきに著者が書き記しています。私は単行本を読みました…
私は、司馬遼太郎氏の書いた「関ケ原」を読んでいません。なので原作との比較は出来ませんが、映画の「関ケ原」を観てどうだったか。その感想を記します。 実はかなり期待して見に行きました。予告編もかなり迫力でしたし、岡田准一主演 の作品は「永遠の0…
村上春樹氏が、1979年に発表したデビュー作です。村上氏は独特の感性や文章表現で、他の作家とは一線を画しています。その感性が、このデビュー作において既に確立されているように感じました。ただ、著者は、「自身が未熟な時代の作品」と評価しているよう…
第154回芥川賞受賞作です。「死んでいない 者」は、生きている人のことを言うのだろうか。それなら、この小説の中では通夜に集まった人々のことになります。「死んで いない者」と読むと、85歳で大往生を遂げた故人ということになります。 おそらく両方の意…
1556年というと、織田信長が今川義元を桶狭間の合戦で破る4年前です。戦国時代初期の設定です。舞台は戦国時代ですが、物語自体はフィクションなので、歴史上の戦国武将が登場するわけではありません。しかし、まるで史実に基づいているかのような錯覚に陥…
福井晴敏は好きな作家ですし、文庫3冊に及ぶ長編なので期待して読み始めました。読み終わった感想は「とにかく長かった」(どちらかと言うとあまりいい意味ではなく)というものでした。超長編を最後まで読み込ませるには、余程の力量が必要だと実感しまし…
伊良部一郎シリーズの第2弾です。前作の「イン・ザ・プール」は、かなり笑わせていただきました。この「空中ブランコ」も前作に負けず面白かった。伊良部一郎は、前作よりもかなり活動的になっていました。今回は診察室から飛び出して、周りを振り回します…
第153回芥川賞受賞作です。又吉直樹氏「火花」と同時受賞により、ちょっと影が薄くなってしまった気がします。 「超高齢化社会」と「老人介護」という現代社会の喫緊の課題を扱った小説でありながら、あまり悲壮感漂う作品ではありません。どちらかと言えば…
イスラム過激派によるテロの脅威が全世界で広がっています。一般のイスラム教徒にとってみればイスラムという名を利用した単なるテロリストであり、イスラム教徒に対する偏見に繋がることを懸念しているようです。テロのニュースやイスラムの世界については…
スパイといってまず思い浮かぶのが、007の「ジェームズ・ボンド」とミッション・インポッシブルの「イーサン・ハント」です。どちらもフィクションの話ですが、世界で最も有名なスパイの内の二人でしょう。アクション映画なのでエンターテイメント性が高…
30年以上前に発表された作品ですが、現在に至っても全く色褪せることのないハードSFの傑作です。謎の解明が物語の主眼なので、ミステリー・ハードSFと言った方が適切かもしれません。その謎が、とてつもなく壮大です。 ほとんど現代人と同じ生物であるに…
第156回芥川賞受賞作。著者である山下澄人氏は、倉本 聰氏主宰の富良野塾の第2期生です。「しんせかい」は、山下澄人氏が富良野塾第2期生として過ごした1年間を記した自伝的小説と位置付けられるでしょう。 「しんせかい」の内容 「しんせかい」の感想 小…