毎日が読書日和ー思ったままの感想文

40歳で気付いた読書の魅力。小説から映画まで、感想を綴ります。

「青の炎」 貴志祐介

「青の炎」の内容

櫛森秀一は、湘南の高校に通う十七歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との三人暮らし。その平和な家庭の一家団欒を踏みにじる闖入者が現れた。母が十年前、再婚しすぐに別れた男、曾根だった。曾根は秀一の家に居座って傍若無人に振る舞い、母の体のみならず妹にまで手を出そうとしていた。警察も法律も家族の幸せを取り返してはくれないことを知った秀一は決意する。自らの手で曾根を葬り去ることを…。完全犯罪に挑む少年の孤独な戦い。その哀切な心象風景を精妙な筆致で描き上げた、日本ミステリー史に残る感動の名作。 【「BOOK」データベースより】 

  

 「青の炎」の感想

  この小説を読んで、貴志祐介さんという作家の作品をもっと読んでみようと思いました。

 嵐の二宮和也松浦亜弥出演で映画にもなっていました(見ていません)が、そのコピーが「こんなにも切ない殺人者が、かつていただろうか。」でした。このコピーの意味は、小説の最後の最後に理解できます。

 

 主人公である「櫛森秀一」は、高校2年生の優等生という設定です。冷静に自己分析しその場に一番適切な対応をする。その反面、自宅では、酒(洋酒)をたしなみ、それを正当化しているところから、自分の行いを都合よく正当化するタイプです。

 文庫裏表紙にあるように、母の離婚相手が家に舞い戻り、傍若無人に振る舞い、幸せな家庭を壊そうとする。特に、妹(曽根との本当の関係も物語の途中で明らかになります)にまで手を出すそぶりを見せたことから、排除すなわち殺害を決意する。

 

 そこからが、優等生で冷静な秀一らしく、綿密な計画を立てていくことになるのだが・・・。 

 そこで、少し違和感が生じます。確かに、曾根はどうしようもない男で、母に手を出したが、妹には、まだ手を出していない状態。この状態で、殺害を決意するほどの動機となりうるのか。特に、優秀で冷静な秀一なら、そこに行きつく前に、他の方法を試してもよいのでは・・・、と思うところもあります。

 

 ただ、そこは、人生経験の浅い高校生であったからこそ、あらゆる手段を講じることもせず、感情の赴くまま、殺害へと走ったと考えれば納得できます。高校生の純粋で思い込んだら周りが見えない時期というものは必ず誰にでもあります。

 

 そこからの物語は、未読の方は、ぜひ読んでみてください。些細なほころびが、秀一を追い詰め、逃げ道を奪っていく。だが、家族を守るため、秀一が最後に選んだ道は、小説の最後に明らかになります。その瞬間、映画のコピーのとおり、あまりの切なさに胸が締め付けられました。

 確かに、秀一は、殺人者であり法律的にも、道徳的にも許されません。だけど、秀一に対して、「仕方ないよね」とは、決して思うことができない結末でした。

  貴志祐介さんの作品をネットで調べると「悪の教典」「新世界より」「硝子のハンマー」「天使の囀り」など。また、入手して読みたいと思います。

  

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