毎日が読書日和ー思ったままの感想文

40歳で気付いた読書の魅力。小説から映画まで、感想を綴ります。

「夜のピクニック」 恩田 陸

夜のピクニック」のあらすじ 

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―。学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。 【「BOOK」データベースより】

 

 夜のピクニック」の感想

  主人公である高校三年生の「甲田貴子」とクラスメイトである「西脇融」との物語を「歩行祭」を舞台にして描いた青春物語といったところです。甲田貴子と西脇融の微妙で高校生にとっては非常に切実な関係。今の自分の年齢では、折り合いをつけることができる大した問題ではないとは思うものの、もし、自分が高校生だったらと思うと、この二人の気持ちも理解できるものかもしれません。

 

 また、全校生徒が80キロを歩きとおす「歩行祭」というイベント。ただ、歩き続けるだけですが、そこでしか感じることのできない感情や友人たちの素顔を通して、二度と戻らない時間を共有していく様が描かれています。素直な感情を呼び起こさせる苦しい「歩行祭」を通じて、二人の間のしこりを溶かしていく。まさしく、青春小説だなと思いました。

 この二人の登場人物以外のクラスメートも、個性豊かで、それでいてその個性を表現するのに説明臭くなく、「歩行祭」の中で自然と描かれています。歩き続けるという舞台ですが、その途中で物語がだれることなく、一気に読み終えるくらいの内容でした。

 こういう青春小説を読むと、自分がもはや高校生に戻ることもできないし、その時の感情や考え方を理解はできても取り戻すことは出来ないんだなと、寂しいような感傷的な気持ちになってしまいます。読み終えて、爽やかな気分になると同時に、自分に対して寂しくなるという複雑な気持ちですね。なんとなく過ごした自分の高校時代を思い返すと、時間を巻き戻したい気分です。

 高校生が読めば高校生の感じ方、大人が読めば大人の感じ方ができ、どんな世代でも心に響くものを残してくれそうな青春小説の秀作だと思います。是非、読んでほしい一冊です。

 

夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)