毎日が読書日和ー思ったままの感想文

40歳で気付いた読書の魅力。小説から映画まで、感想を綴ります。

「ゆりかごで眠れ」 垣根涼介

「ゆりかごで眠れ」の内容

 凄絶な少年時代を過ごしながらも、コロンビア・マフィアのボスにまで上りつめた日系二世のリキ・コバヤシ・ガルシア。この日常に馴染めずも生きる、元刑事・若槻妙子。リキなしには生きていけない元浮浪児・カーサ。組織の中で歪み、すり潰されていく刑事・武田。ラティーノの殺し屋・パパリトとパト―。血と喧騒の中を、全速で駆け抜けた男達を描く感動巨篇。 【「BOOK」データベースより】

 

 「ゆりかごで眠れ」の感想

 南米コロンビアのマフィアの話です。といっても、舞台は日本。上巻裏表紙にあるとおり、ライバル組織に売られた部下の奪還と復讐を中心に、主人公のリキ・コバヤシ・ガルシアと少女カーサ、元刑事の若槻妙子を軸に物語は語られます。

  

 南米への戦後日系移民の悲劇が根底にあるので、主人公は日系二世にしているのでしょう。同作者の「ワイルドソウル」(是非読んでください。この本の感想はまた後日書きます)で語られている戦後の移民(棄民)政策によって生まれた日系人の悲劇が主人公の個性に色濃く反映させられています。もちろん、その悲劇以上の悲劇を幼少期に受けていることも多大な影響を及ぼしています。

 

 南米麻薬マフィアの抗争を描きながら、家族を失ったリキが本当に求めているのは何なのか?それを、考えさせられます。 

 「愛は十倍に、憎悪は百倍にして返せ」

の通り、百倍にして返す暴力シーンは、嫌悪感を抱く人もいるかもしれません。

 そして、南米麻薬マフィアの過激さを日本という舞台で描くために、日本の警察を赤子の様に扱い、部下を奪還するシーンなどは、そこまで日本の警察も無能ではないだろうと感じます。

 マフィアとして生きてきたからには、いつかは地獄に落ちる事を理解しているリキが、抜けられない負の連鎖の中で見出した希望が、カーサであり、若槻妙子です。

 

 物語の展開は早く、一気に読み進んでしまいます。リキを、魅力的に描いていますが、コロンビアの麻薬マフィアのボスであることを考えれば、やっぱり悪人であることに変わりはないのです。その罪をあまり描かずに、リキの悲劇ばかりが際立っている感がありますが、スピード感のある物語に引き込まれます。 ただ、読む人によって、感想はかなり変わるかなとは思いますが。

 

 「ワイルドソウル」よりも、話がたんたんと進んで行ってしまうので、読みやすいと言えば読みやすいです。

 

 

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