「何者」 朝井リョウ

「何者」のあらすじ 

就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから―。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて…。直木賞受賞作。 【「BOOK]データベースより】 

 

 「何者」の感想

  映画にもなった話題作だったので期待して読みましたが、私にはあまり共感できる部分がありませんでした。私が就職活動したのは20年前で、まだ携帯電話も普及していない時代だったので、TwitterSNSをキーワードに就活と人間関係を描いた作品には共感できないのは仕方ないのかもしれませんが。

  ただ、就活については、企業が採用する人を選ぶという点では今も昔も変わらないとは思います。就活ってもっと必死なものだったと記憶していますが、この作品では、内定の出ない悲壮感などをあまり感じない。やりたいこととか人の就活のやり方とか気にしている余裕なんてなかったと思います。就職の最大の目的は、お金を稼いで自立することです。何としても内定が欲しいっていう必死さがあまり伝わってきませんでした。

 就活に必死さを感じないので、TwitterSNSにはけ口を求めるほど、心に闇ができるのかなと思ってしまいます。
 ラスト間際に、あることをきっかけに、突然、話が急展開します。本当に突然です。それまでは結構のんびり(というか淡々)とした話が続いていたので、びっくりします。ただ、その時のセリフが感情的な割には内容が冷静過ぎるし、そこまで断罪するほどのことでもないし、断罪できる立場なのかなと思ってしまいました。
 最後は、少し救われた展開で終わるわけですが、取ってつけた感を感じます。
 
 就職活動中の大学生やその前後くらいの年代なら共感できるのかもしれません。
 共感できれば話に引き込まれるだろうし、できなければ引いてしまう内容だと思いました。ただ、ボリュームも少ないし読むのに時間もかからないので、就活中でも十分読めると思います。
 
何者 (新潮文庫)

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