毎日が読書日和ー思ったままの感想文

40歳で気付いた読書の魅力。小説から映画まで、感想を綴ります。

「ヒートアイランド」 垣根涼介

ヒートアイランド」の内容

渋谷でファイトパーティーを開き、トップにのし上がったストリートギャング雅。頭のアキとカオルは、仲間が持ち帰った大金を見て驚愕する。それはヤクザが経営する非合法カジノから、裏金強奪のプロフェッショナルの男たちが強奪した金だった。少年たちと強奪犯との息詰まる攻防を描いた傑作ミステリー。 【「BOOK]データベースより】 

 

 「ヒートアイランド」の感想

 あらすじには「ミステリー」となっていますが、ミステリーという分類ではありません。「ストリートギャング」「泥棒」「ヤクザ」を絡ませたワイルドなハードボイルド小説です。

 

  垣根涼介さんの小説らしく、登場人物はすべてアウトローばかりです。前半は、だるいところもありましたが、後半に入り、アキとカオルの計画が実行に移された辺りから一気に話のテンポがあがり、引き込まれていきます。特に、アキの計画にはない不確定要素(松谷組のことですが)を織り込むことで、ストーリーの展開が読めず、緊張感が半端ありません。

 首都圏に住んでいるわけではないので、ストリートギャングっていうものが実際にどういうものか分からないので、アキ達にリアリティがあるのかどうかは分かりません。ただ、前半は暴力的な若者という描写が際立ち、ストリートギャングに対する嫌悪感は拭えませんでした。

 ただ、暴力的と言えば、ヤクザの方が暴力的なので、後半はストリートギャングの暴力的な感じはなくなってしまいました。なので、後半は、アキ達に感情移入することができ、そのおかげで結末はすっきりと感じました。

 この小説では、それぞれの思惑が複雑すぎるくらい絡まりあっています。アキ達ストリートギャング、強奪犯、ヤクザの光栄商事と松谷組の計4者がそれぞれの思惑を持っています。その中でも、ヤクザ同士の縄張りの問題が、この物語の行く末を大きく動かします。ネタバレすると面白くないので、複雑とだけ書いておきます。

 

 ただ先ほども書きましたが、前半は登場人物と状況の設定のために多くの部分が費やされているように感じます。あまり盛り上がりません。ただ、そこできっちりと下準備ができているので、後半のスピード感に登場人物が映えるのです。

 後半からは、一気読みでした。それくらい息をつく暇もありません。

 ただ、難を言うなら、アキの思惑通りにあまりにも上手く行き過ぎ。19歳の若者のなせる業ではないくらいです。それらも含めて爽快感だという人と、逆に冷めてしまう人の二通りかもしれません。私は前者でした。

 何かが心に残るような作品ではありません。ただ、読んでいる間は楽しめます。

 

 最後に、ストリートギャングを美化するような感じを受けました。それが、残念です。報われないかもしれないと感じながらも、既存の社会で頑張って日々を送っている多くの働く人たちの方がすばらしいからです。個人的な思いですが。

 

ヒートアイランド (文春文庫)

ヒートアイランド (文春文庫)

rgba(123,215,249,100) rgba(252,252,84,0.8) rgba(102,255,204,1)