毎日が読書日和ー思ったままの感想文

40歳で気付いた読書の魅力。小説から映画まで、感想を綴ります。

「ラッシュライフ」 伊坂幸太郎

 「ラッシュライフ」の内容

泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場―。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。 【「BOOK]データベースより】 

 

 「ラッシュライフ」の感想

  伊坂幸太郎さんの2作目です。「オーデュボンの祈り」を読んだ後で読みました。前作でも感じましたが、伊坂さんの作品は、まるでジグソーパズルを作るような感覚です。いろんなピースがはまっていき、最後に一つの絵が完成する。物語の収束の仕方に爽快感があります。

 

  今回は、全く違う4つの物語(実際には5つだと自分は思いますが)が登場します。

 1冊に4つの物語を書いているので、それぞれの物語を描く文章量は少ないはずです。でも、個性が豊か過ぎる登場人物とストーリーで、全ての物語がすごく印象に残ります。

 また、登場人物の個性を表現するのがそのセリフと行動なので、説明臭い文章がない。また、小気味よいテンポと洒落たセリフで、思わずニヤリとしてしまいます。これぞ、伊坂ワールドです。

 

 それぞれの物語は非現実的なものばかりですが、実際に起こっているかのような錯覚を起こします。「オーデュボンの祈り」でもそうでしたが、人が殺されます。また、殺そうとします。

 でも、悲壮感や残酷さを感じさせず、それが当たり前のように描かれています。また、前作と同じく、それを自然と受け入れてしまいます。

 全く関係のない5人が送るそれぞれの日常が、仙台という街で意外な関係性を持ちながらリンクしていく。その複雑さは、時間軸の前後も関わっています。それが、最後には全てが繋がる。気持ちのよい読後感です。

 ちなみに、「オーデュボンの祈り」の伊藤も、会話の中でだけですが登場します。それも面白い。

 

 群像劇なので、一本の大きな筋の通ったストーリーがあるわけではありません。でも、それぞれの5つのストーリーがしっかりしているから、物足りなさはありませんでした。

 特に、泥棒の黒沢がいい味を出しています。

 黒沢のセリフに、

人生については、誰もがアマチュアなんだよ。そうだろ?誰だって初参加なんだ。人生にプロフェッショナルがいるわけがない。

  そのとおりです。伊坂幸太郎さんらしいセリフです。

 伊坂さんの面白さが詰まった作品です。

 是非。

 

ラッシュライフ (新潮文庫)

ラッシュライフ (新潮文庫)

 

 

rgba(123,215,249,100) rgba(252,252,84,0.8) rgba(102,255,204,1)