毎日が読書日和ー思ったままの感想文

40歳で気付いた読書の魅力。小説から映画まで、感想を綴ります。

「忍びの国」 和田 竜

 忍びの国」のあらすじ 

時は戦国。忍びの無門は伊賀一の腕を誇るも無類の怠け者。女房のお国に稼ぎのなさを咎められ、百文の褒美目当てに他家の伊賀者を殺める。このとき、伊賀攻略を狙う織田信雄軍と百地三太夫率いる伊賀忍び軍団との、壮絶な戦の火蓋が切って落とされた―。破天荒な人物、スリリングな謀略、迫力の戦闘。「天正伊賀の乱」を背景に、全く新しい歴史小説の到来を宣言した圧倒的快作。 【「BOOK]データベースより】 

 

 「忍びの国」の感想

  2017年7月1日に映画が公開されるので、映画が先か小説が先か悩んだ末に、小説を先に読みました。「天正伊賀の乱」という史実を背景に描かれているので、フィクションでありながら物語にリアリティが伴い、手に汗を握らせながら最後まで読ませてくれます。歴史小説というよりは、極上のエンターテイメント作品です。

  まず最初に、物語で描かれている伊賀の忍びたちの生き方と考え方に驚かされます。

 忍者と言えば、忍術を巧みに使い、敵を欺き目的を果たす。というイメージです。確かにその通りなのですが、この物語では、伊賀者が動くのは金を稼ぐためだけ。とにかく金に汚く、自分のことしか考えません。自分のため、金のためなら、同じ伊賀の忍びであっても簡単に見捨てていきます。なので、見捨てられる方も、「自分が見捨てられても仕方ない」と思ってしまうくらいです。忍びには卑怯という言葉はなく、どんな裏切りや殺戮があっても、自分が関係なければどうでもよいという描かれ方です。

 一方、織田方は武士であるので、武士としての生き様をもって伊賀の忍びに対していきます。その生き方の違いが、逆にそれぞれのキャラクターを更に際立たせています。伊賀の忍びは更に非道に、武士は愚かなくらい愚直にです。

 主人公の無門も伊賀者らしい忍びであるのですが、たった一つ違うのが女房のお国の存在です。お国と話している時の無門の態度は、伊賀一の忍びとは思えず、その落差がまた読んでいて面白い。無門は、お国に対するときだけ人間的な部分を見せています。

 忍びの物語なので、卓越した忍術を使う場面が多く描かれています。ですが、それ以上に謀略がすさまじい。相手の裏の裏を読み、利用できるものはどんなものでも利用する。忍びの怖さがそこにあります。

 もちろん、織田方にも、個性豊かで強者の武士がおり、忍びに対抗していきます。息詰まる闘いと謀略の連続です。息もつく暇がないほどです。

 そのような闘いの中でも飄々とした態度で、無門は立ち回っていきます。

 この小説は、織田方と伊賀の両方の視点に立って描かれています。もちろん無門が中心なのですが、織田方にも魅力的な武士がたくさん出てきます。どちらかというと、金に汚い伊賀者より、織田方の武士たちに感情移入してしまいそうです。

  映画はまだ見ていませんが、嵐の大野君は結構当たり役かもしれません。無門の飄々とした感じは合っているかも。映画も見る予定です。

 

忍びの国 (新潮文庫)

忍びの国 (新潮文庫)