毎日が読書日和ー思ったままの感想文

40歳で気付いた読書の魅力。小説から映画まで、感想を綴ります。

「ブレイブ・ストーリー」  宮部みゆき

 「ブレイブ・ストーリー」の感想

  分類としては、ファンタジー小説となるのでしょうか。でも、ライトノベルではありません。ロールプレイングゲームをノベライズしたような感覚の小説です。もちろん、オリジナルの作品であり、逆にこの小説を基に、長編アニメ映画や漫画、ゲームが製作されています。文庫上中下3冊に及ぶ長編ですが、読み始めると先が気になりどんどん読み進めました。

 

  内容は、ファンタジー冒険物の王道です。仲間を見つけ、ともに困難に立ち向かいながら目的を達成していく。その過程の中で、主人公である亘(ワタル)が悩み、運命に立ち向かい、それを乗り越え、自らの答えを見つける。

 物語は、現実世界である「現世(うつしょ)」と、望みを叶えるために旅立った「幻界(ヴィジョン)」を舞台にしています。上巻は、ほぼ現世を舞台にしているので、ファンタジーな物語ではなく、どちらかというと現実の生々しい話です。両親の離婚など。

 幻界へ旅立ってからは一転、ファンタジー冒険小説です。運命を変えるため、キ・キーマとミーナを仲間に旅を続ける。旅の中で、いろんな人(人以外もいますが)と出会い、助けられながら成長していく。魔法が出たり、ドラゴンが出たり、騎士団が出たりと、まさにRPGの世界です。

 

 ただ、ストーリーはそんなに単純ではなく、ワタルと同じく幻界に来ていた同級生であるミツルの存在が、ワタルの葛藤と成長に一役買っています。ミツルもワタルと同じく運命を変えるために来ていたわけですが、願いを叶えられるのは一人だけ。協力して願いを叶えるという訳にはいかないわけです。ワタルが取り戻したい日常と同じように、ミツルにも取り戻したいものがあることをワタルは理解しているわけです。そういうワタルの心情を描くことで、心が子供から大人へと成長していく様がよく分かります。

 また、幻界自体にも、いろいろな事情を含ませています。その事情とワタルたちの旅が絡まりあい、旅は終わりを告げるわけです。その辺りの絡ませ方が、うまいです。

 この物語は、ワタルという小学生の成長をファンタジーという要素で語っています。ワタルが普通のありふれた小学生であるからこそ、共感を感じることもできるのです。

 最後は、悲しい部分も多くあります。完全なハッピーエンドでないからこそ、心に尾を引くものが残るのです。最後にワタルが心に得た勇気(ブレイブ)は、何だったのか。それを是非読んでください。

 

 ただ、これは、子供向けの小説なのか、大人向けの小説なのか、どっちなのだろうか。幻界の中の話は、あきらかに小学生向けです。もちろん大人も楽しめますが。

 逆に、現世の話は、子供にはちょっと生々しい。特にワタルの両親の離婚の原因は、子供に読ませたくない部類です。小学生に読んでほしいけど、大人の生々しい部分が最初に際立ちすぎるのがちょっと残念です。子供の成長の話なのにと思ってしまいます。

  ファンタジー物は、好みが分かれますが、私は気に入っています。

 

 「ブレイブ・ストーリー」の内容

 小学五年生の亘は、成績はそこそこで、テレビゲームが好きな男の子。大きな団地に住み、ともに新設校に通う親友のカッちゃんがいる。街では、建設途中のビルに幽霊が出るという噂が広がっていた。そんなある日、帰宅した亘に、父は「この家を出てゆく」という意外な言葉をぶつける。不意に持ち上がった両親の離婚話。これまでの平穏な毎日を取り戻すべく、亘はビルの扉から、広大な異世界―幻界へと旅立った!

 僕は運命を変えてみせる―。剣と魔法と物語の神が君臨する幻界でワタルを待ち受けていたのは、さまざまなモンスターに呪い、厳しい自然、旅人に課せられた数々の障害だった。大トカゲのキ・キーマ、ネコ族のミーナらとともに、ワタルは五つの宝玉を獲得しながら幻界の旅をつづける。先をゆくライバル、ミツルの行方は?ワタルの肩にかかる幻界の未来は?胸躍る場面が次々展開する和製ファンタジーの金字塔!

 天空を翔るファイアドラゴン、ジョゾの背に乗って北の帝国に向かうワタルたち。目指すは皇都ソレブリアにそびえる運命の塔。が、うちつづく闘いに傷つき、命を失う仲間もあらわれ…。ミツルとの死闘を制し、ワタルは女神と出会うことができるのか?現世の幸福と幻界の未来。最後に選ぶべきワタルのほんとうの願いとは―。運命に挑んだ少年の壮大なる旅を描いて、勇気と感動の涙をもたらす記念碑的超大作、ついに完結! 【「BOOK」データベースより】 

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