毎日が読書日和ー思ったままの感想文

40歳で気付いた読書の魅力。小説から映画まで、感想を綴ります。

「沈まぬ太陽(会長室篇)」 山崎豊子

 「沈まぬ太陽(会長室篇)」の内容

 「空の安全」をないがしろにし、利潤追求を第一とした経営。御巣鷹山の墜落は、起こるべくして起きた事故だった。政府は組織の建て直しを図るべく、新会長に国見正之の就任を要請。恩地は新設された会長室の部長に抜擢される。「きみの力を借りたい」。国見の真摯な説得が恩地を動かした。次第に白日の下にさらされる腐敗の構造。しかし、それは終わりなき暗闘の始まりでしかなかった…。

 会長室の調査により、次々と明るみに出る不正と乱脈。国民航空は、いまや人の貌をした魑魅魍魎に食いつくされつつあった。会長の国見と恩地はひるまず闘いをつづけるが、政・官・財が癒着する利権の闇は、あまりに深く巧妙に張りめぐらされていた。不正疑惑は閣議決定により闇に葬られ、国見は突如更迭される―。勇気とは、そして良心とは何かを問う壮大なドラマ、いよいよ完結へ!。 【「BOOK」データベースより】

 

沈まぬ太陽(会長室篇)」の感想

  会長室編は、恩地と国民航空との直接対決といった内容です。とにかく印象に残ったのは、善悪の区別が明確すぎる点です。

 組織立て直しのために招聘された清廉潔白な新会長・国見とその改革のために右腕となった恩地は、揺るぎない「善」として描かれています。

 

 一方、国民航空の旧態依然の経営陣は、恩地たちに対峙する「悪」として描かれています。確かに、「アフリカ篇」「御巣鷹山篇」と、国民航空の経営陣の腐敗を徹底的に描いてきたからには、「恩地は善」「経営陣は悪」となるのは仕方ありません。

 しかし、あまりに一方的な見方です。読んでいると、国民航空ではなく日本航空という実在する一企業を、小説という名を借りて批判しているだけのように感じてきてしまいます。

 

 善悪の区別ほど、人の主観によって変わるものはありません。確かに政・官・財が利権を追求するあまり現場をないがしろにし、安全追及を第一とすべき航空会社の責務を果たしていないのは、悪です。

 だからと言って、組織の腐敗が、その組織の経営陣全ての腐敗とイコールとは限りません。経営陣の中にも、心ある人がいるはずです。しかし、そのような人物は登場させず、悪の印象を植え付けるのはいかがなものでしょうか。これが純粋なフィクションの小説であればいいのですが、事実に基づくと作者が言っている以上、読み手は日本航空はこういう会社だと思ってしまいます。

 

 日本航空で働く人たち全てに対して責任を持てるほどの取材と事実に基づいているのかは疑問です。小説としては、善悪をはっきりさせたほうが面白いとは思いますが。

 私は、経営者は「清濁併せ呑む」必要があると思います。清廉潔白・直球勝負だけの改革ばかりで、話の展開が単調に感じてしまいます。

 

 沈まぬ太陽を読んだ感想としては、

  「アフリカ篇」は、おすすめ

  御巣鷹山編」は、必読 

  「会長室編」は、読まなくてもいいかな  

というのが、最終的な感想です。

 

 

rgba(123,215,249,100) rgba(252,252,84,0.8) rgba(102,255,204,1)