毎日が読書日和ー思ったままの感想文

40歳で気付いた読書の魅力。小説から映画まで、感想を綴ります。

「キリスト教入門」 山我哲雄

キリスト教入門」を読むきっかけ

 最近は、イスラム過激派によるテロの脅威が全世界で広がっています。一般のイスラム教徒にとってみれば、イスラムという名を利用した単なるテロリストであり、イスラム教徒に対する偏見に繋がることを懸念しているようです。

 このようなテロのニュースやイスラムの世界については、頻繁にメディアに取り上げられています。しかし、そこでふとイスラム教に関して何を知っているのだろうと考えると、ほぼ何も知らない状態でした。

 そこで、宗教についての知識を増やそうと思い、まず最初に手にしたのが「キリスト教入門」です。キリスト教の全てが分かるとは言いませんが、キリスト教の基本的なことは十分この一冊で吸収できます。もちろん歴史的な部分でという意味で、信仰の全てという意味ではありません。

 

  なぜ、キリスト教から始めたかというと、まず、キリスト教は世界で最も信者数が多いこと、イスラム教はキリスト教から生まれたことが理由です。少ない知識ではありますが、イスラム教は、ユダヤ教から始まり、キリスト教、そしてイスラム教へと繋がっていったことは知っていましたし、信仰の対象となる神も同じだと理解していました。

 「キリスト教」はどんな宗教かと問われれば、言葉に詰まってしまいます。聖書を読んだことはありませんし、普段関わるようなことといえば、クリスマスくらいです。そのクリスマスについても、その由来や意味を知らずに単なるイベントとしてしか考えていません。

 

 断片的な知識は、様々なところから拾えます。「バチカン」「システィーナ礼拝堂最後の審判」や「カトリック教皇を選出するコンクラーベ」。映画でも「天使と悪魔」「ダ・ヴィンチ・コード」古くは「最後の誘惑」など、キリスト教をテーマにした映画は数知れずです。しかし、最初に書いた通り「キリスト教とは?」と問われると答えられません。

 私も含め、日本人の大半は宗教に関して、感心が低いのかもしれません。関心が低いと言えば否定的に聞こえますが、宗教に関して寛容だとも言えます。

 

 日本人の大半は仏教徒だと思います。仏教徒と言っても、仏教の教えを信じ積極的に関わっているのではなく、葬式や法事の時にお世話になるくらいです。私もそうです。

 それがいいことなのか悪いことなのかは分かりません。しかし、その一方、自分が信じている宗教だけが全てではないと意識的・無意識的に理解しているのかもしれません。だから、宗教に寛容になるのでしょう。

 ただ、他の宗教に寛容であるにも、その宗教のことを理解して受け入れるのと、良く知らないから何となく受け入れてしまっているのでは、全く意味が違います。本当に寛容なのは、その宗教の中身を理解し、その上でそれを信じている人たちを受け入れることが大事です。

 

 そこで、この「キリスト教入門」を手に取りました。いきなり聖書を読んでも、理解できないことは明白です。まずは、キリスト教を知るために、歴史を知ることが大事だと考えました。キリスト教の教義が、どのような成り立ちにより現在に至ったのかを知れば、少なくともキリスト教を信じる人たちの拠り所となるものがどのように形成され、どのように信じられていったのかが理解できます。

 

キリスト教入門」の概要 

 岩波ジュニア新書の「キリスト教入門」は、中高生くらいを対象とした書籍なのだと思いますが、キリスト教の知識をほとんど持たない私にとっては、ちょうどよい内容でした。分かりやすい文章と時系列に沿った説明。キリスト教の歴史は、この一冊で十分吸収できます。

 

 この本の章建ては以下の通りです。

 

    第1章  ユダヤ教キリスト教
    第2章  ナザレのイエス
    第3章  キリスト教の成立
    第4章  キリスト教の発展―キリスト教の西と東
    第5章  ローマ・カトリック教会
    第6章  東方正教会
    第7章  宗教改革プロテスタント教会
    おわりに キリスト教と現代

 

 この本の分かりやすいところは、キリスト教が、その当時の世界情勢とどのような関わりを持ち、その影響をどのように受けてきたかを明確にしている点です。信仰としての宗教であっても、権力者の影響を受けるのは当然であり、そのために、信仰そのものにも影響を及ぼしたであろうことは十分に理解できます。キリスト教内部においても、政治的な思惑があったようです。純粋な信仰のみをもって、現在に至っている訳ではないということです。

 

 特にキリスト教に影響を与えたのがローマ帝国です。ローマ帝国すなわち皇帝とキリスト教教皇との関係は、キリスト教の在り方に大きな影響を及ぼしていると感じました。

 ローマ帝国の思惑が最もキリスト教に影響を及ぼしたのが、ローマ帝国キリスト教の国教化です。それまでは、ローマ帝国ではキリスト教は迫害されてきました。しかし、ローマ帝国の再統一のためにキリスト教が利用されたのです。また、その後において、ローマ帝国の東西分裂により、キリスト教も、ローマ・カトリック東方正教会へと分裂します。

 歴史としてのキリスト教は、波乱万丈で読んでいてとても興味深い。

 

 この本は、ユダヤ教から始まって、現在までの歴史が書かれています。今、身の回りにあるキリスト教の分派は、多くにのぼっています。それらの分派についても理解することで、現在のキリスト教世界を理解することができます。

 この一冊で、現在に至るキリスト教を知ることができ、さらに読み物としても十分に興味深く面白い。ここからキリスト教にさらに興味を持つか、また、他の宗教にも興味を持つか、人それぞれです。しかし、まずは、キリスト教に対する扉をノックするには最適の一冊です。

 

 

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