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映画「BLAME!(ブラム)」を観た

 少し前の話ですが、映画「BLAME!(ブラム)」を観ました。私は「BLAME!」というマンガがあることも知らなかったので、全くの白紙の状態で映画を観ましたが、面白かった。映画館で観て良かった。というのが率直な感想です。  

  映画を観た後、原作を読み、ネットでいろんなサイトを見ました。かなりコアなファンが大勢いるということでした。原作のファンの方は、映像化に対していろいろと思うところはあると思います。原作を知らずに観た「BLAME!」について、原作の世界観やストーリーや登場人物を抜きにして映画だけの感想を書きます。原作のファンの方には異論がたくさんあるかもしれませんが、原作を読んでいない状態で鑑賞した人間の感想ということで勘弁してください。 

ストーリーについて 

素の取捨選択

 映画は2時間程度という時間の制約があります。物語の前提となる世界・登場人物の役割を描き、さらに完結もしくは納得できる終わり方をしなければなりません。すなわち起承転結を明確にしないと、観ている者が迷い理解できず面白味を感じることもありません。もやもやとした印象を持ってしまいます。 

 原作は「月刊アフタヌーン」で1997年3月号から2003年9月号まで連載されている長編です。それを2時間の枠で全てを詰め込むことはできないでしょうし、詰め込めば全てが中途半端になってしまいます。原作ものの映画には、よくある失敗です。 

その点、この映画は情報をうまく取捨選択できています。 

 映画を観た後に原作を読んだのですが、原作のあまりのセリフの少なさにストーリーを掴めないところがありました。ただ、世界観の独特さは伝わってきます。そういうところが、コアなファンの心を掴んでいるのかもしれません。そのような原作でありながら、映画は映画と割り切って作っています。必要な部分と切り捨てている部分の選択が素晴らしい。また、原作と違いストーリーを構成する上で必要な情報は明確に表現されています。 

とつのエピソード

 この映画は原作の最初から最後までを2時間に収めるのではなく、ひとつのエピソードとしての位置づけなのでしょう。 物語を成立させるための必要な情報として、

  • 霧亥が感染前の「ネット端末遺伝子」を持つ人間を探していること
  • 「ネット端末遺伝子」が感染したことにより、人間が都市に接続できないこと。
  • 人間が不法居住者としてセーフガードに排除される対象となっていること。

などは、物語中で明らかにされています。しかし、

  • 霧亥がどこから来て、何故「ネット端末遺伝子」を持つ人間を探しているのか。
  • どうして、人間が感染したのか。

など、根幹に関わる部分は映画においては明らかにされていません。切り捨てていながらも違和感なく観ることができたので、必要な部分は確実に表現できていたのでしょう。もちろん1本の映画として楽しめるかどうかなので、原作に忠実かどうかは別の話です。 

クリーンに広がる映像美 

無限に広がる都市の壮大さ。霧亥の人間とは微妙に違う動きや霧亥の網膜を通して見る世界。セーフガードの動きや爆発・崩壊。人間の表情。スクリーンに映る全てが美しく、惹きつけられる。

 これは文章で表現するのは難しいことですので、観ていただければ分かります。すでに公開は終わっていますが、映画館のスクリーンで観たい作品です。