毎日が読書日和ー思ったままの感想文

40歳で気付いた読書の魅力。小説から映画まで、感想を綴ります。

「ソードアート・オンライン1 アインクラッド」 川原 礫

 5年ぶりくらいの再読です。 

 初めて読んだライトノベルが、「ソードアート・オンライン」です。これを読んで、ライトノベルを読み始めるようになったと言っても過言ではありません。

 小説より先に、TVアニメを見たのがきっかけで「ソードアート・オンライン」を知ったのですが、このアニメが思いのほか良かったので、小説も読んでみました。

  文庫の最初に、主要登場人物のカラーイラストが掲載されていますが、先にアニメで見ていた登場人物と同じなので、小説を読んで違和感を感じることはありませんでした。

 ストーリーは分かっているので、アニメをなぞるような感覚です。

 2回目ですが、やっぱりSAO(ソードアート・オンライン)の世界に引き込まれました。 

 

ソードアート・オンライン1」の内容 

 クリアするまで脱出不可能、ゲームオーバーは本当の“死”を意味する―。謎の次世代MMO『ソードアート・オンライン(SAO)』の“真実”を知らずにログインした約一万人のユーザーと共に、その苛酷なデスバトルは幕を開けた。SAOに参加した一人である主人公・キリトは、いち早くこのMMOの“真実”を受け入れる。そして、ゲームの舞台となる巨大浮遊城『アインクラッド』で、パーティーを組まないソロプレイヤーとして頭角をあらわしていった。クリア条件である最上階層到達を目指し、熾烈な冒険を単独で続けるキリトだったが、レイピアの名手・女流剣士アスナの強引な誘いによって彼女とコンビを組むことに。その出会いは、キリトに運命とも呼べる契機をもたらし―。【「BOOK」データベースより】

  

ソードアート・オンラインの魅力 

ありがちな設定ながら・・・

 ゲーム世界に閉じ込められる。

 何となく、今まででもあったように感じる設定です。ただ、そこに十分なリアリティを持たせているのが、この小説の魅力のひとつだと思います。

 近い将来の設定なので、今とほぼ変わらない現実世界です。ただ、現在存在しない技術。それが、「フルダイブ」を可能としたVR技術を搭載した「ナーヴギア」です。

 

 これが、物語の始まりであり、最も重要な要素です。現在、実現していない技術ですが、将来的には実現しそうに感じる技術です。そこが、現実感が伴う理由でしょう。

 ゲーム世界の中ではどんな設定も自由ですが、その世界に入る設定に無理があると、全てが非現実的でファンタジーだけの小説になってしまいます。

 物語の土台となる部分に、未実現ながら実現可能性があると思わせる技術を持ってきたことにより物語にリアリティが伴うのです。リアリティが伴えば、物語に引き込まれていくのも当然です。

 

 そして、「ソードアート・オンライン」において、最も重要な事柄。

 ・ フルダイブしたSAOの世界からログアウトできない

 ・ ゲーム内の死が、現実の死になる

 ・ ログアウトのためには、第100層にいるボスを倒しゲームをクリアすること

  

 この前提の下、物語が進む訳です。現実世界にリアリティを持たせているからこそ、ゲーム世界の中でありながら、絶対的な重みを感じることができるのです。

  現実世界とゲーム世界。このふたつが絶妙に関係しあい、物語に緊張感を与えています。その緊張感があるからこそ、読者は引き込まれていくのでしょう。

 

登場人物 

 登場人物は総じて若い。主人公のキリトは、ゲームクリア時で16歳。アスナは17歳。

 年長扱いされているクラインですら、20代前半です。

 ただ、物語がMMORPGというゲーム世界を舞台にしているから、年齢層が若いことに違和感はありません。ゲーム世代としては、10代は普通です。主要登場人物が、これくらいの年齢設定なのは、むしろ自然に感じます。外見については、ラノベらしい。

 

キリト

 本作の主人公。SAO事件を劇的な早期解決へと導いた「黒の剣士」。

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アスナ

 最強のギルド「血盟騎士団」の副団長であり「閃光」と渾名されている剣士。SAO事件における紆余曲折の末にキリトと結ばれる。

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クライン(左)とエギル(右)

(クライン)

 キリトが正式サービス開始後のSAOで最初に知り合った人物。ギルド「風林火山」リーダー。義理堅い気さくな好青年で、キリトとは腐れ縁の親友とも言うべき間柄になる。

エギル

 SAO事件最初期から攻略に参加するプレイヤー。キリトの良き理解者の一人。

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ヒースクリフ

 攻略ギルド最強と言われる「血盟騎士団」の団長。

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ストーリー構成の潔さ 

 物語は、第100層から成る浮遊城「アインクラッド」を舞台に描かれます。第1層から始まり、第100層にいるボスを倒せばゲームクリアとなりログアウトできる。

 簡単に言えば、そういう話です。

 そのような設定をすれば、第1層から順番に物語を書いていき、第100層まで続けていきたくなります。第1層から始まり、延々と続く小説になりそうな設定です。

 

 しかし、作者の川原礫の潔さなのか、第1巻でゲームクリアし一応の完結となります。実際は、この後もSAOシリーズとして続いていきます。しかし、アインクラッドは第1巻だけでゲームクリアまでを完結させてしまっていますので、テンポ良く物語が進んでいきます。ダラダラと続かないことがとても良い。

 

 そのため、物語がいきなり第74層から始まります。物語の前提となるログアウト不可・ゲーム内の死=現実の死などは、回想などを織り交ぜながら、自然に描かれています。人間関係や人物の個性なども同様です。物語中に、さりげなく散りばめながら、読者が必要な設定・状況・情勢などを描いています。文庫1冊という限られたボリュームの中だからこそ、研ぎ澄まされた構成力になったと感じます。

 

最後に 

 主人公のキリトの圧倒的な強さは、やはりラノベの主人公だなと感じます。主人公は格好良く、憧れを抱くような存在です。

 ただ、強さだけでなく、心の苦しみと向き合うキリトも同時に描くことで、彼の人格や個性に厚みを増しています。

 彼の苦しみは、

 クラインを見捨てたこと

 あるギルドを全滅させたこと

などに、起因します。

 このことが、彼の行動を規制する大きな要素です。

 ゲームクリアに挑むとともに、取り返せない過去の苦しみに立ち向かう姿が印象的です。

 それに加え、脇を固める登場人物たちの多彩さ。人間の光と闇を描くことで、単なるファンタジー小説以上の小説になっています。 

 

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