毎日が読書日和ー思ったままの感想文

40歳で気付いた読書の魅力。小説から映画まで、感想を綴ります。

「オリエント急行殺人事件」 アガサ・クリスティー

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 本年公開の映画「オリエント急行殺人事件」を観てから、小説を読みました。すなわち、犯人が分かった状態で読み始めました。

 何故、読み始めたかと言うと、映画が映像・俳優・演技、あらゆる面において素晴らしかったので、是非原作も読もうと思った次第です。

 それに、映画ではよく分からない部分もあったことも事実です。

 映画と原作小説。

 その違いも楽しめるだろうと思い、犯人が分かっているミステリーを読もうと決めました。映画の補足の意味も含めてです。

  

 「オリエント急行殺人事件」は、犯人の正体の意外性が最も重要な部分です。それに加え、犯人を推理した後のポワロの態度。

 犯人を知らない状態で小説を読めることは、とても幸せなことです。なので、犯人に関するネタバレは一切ないように感想を書きます。感想が物足りなくなるのですが、仕方ないと思います。

 

 

オリエント急行殺人事件」の内容 

厳寒のヨーロッパを走る豪華列車オリエント急行イスタンブール発、フランス・カレー行きのその車内で、初老のアメリカ人富豪が複数の刺し傷を受けて死んでいるのが発見された。偶然同じ列車に乗り合わせていた名探偵ポワロは事件解決に挑むが、国籍や年齢、職業も異なる乗客にはすべて、完璧なアリバイがあった。大雪で立ち往生した列車内はさながら密室状態。事件は何を指し示し、いったいどこへ向かうのか?【「BOOK」データベースより】 

 

オリエント急行殺人事件」の感想 

事件の発生 

 列車内の殺人。

 ただ、列車内の殺人と言うだけでなく、雪で立ち往生した列車内。すなわち密室殺人です。それも、国際列車オリエント急行を舞台にしているので、乗客の国籍、身分がとても様々です。そのバリエーションに富む登場人物が、物語の重要な要素になっています。

 単なる密室を作り出すために、列車を利用したのではなく、国際列車という舞台を見事に活用しています。

 殺された人物は、ラチェット。初老のアメリカ人実業家。

 当初から、あまりいい印象で描かれていません。どちらかと言うと、周りの人間を不愉快にさせる人物です。彼が殺され、事件が発生する訳ですが、犠牲者としては妥当な人物と考えてしまいます。

 何故、殺されたのか?

 どうやって殺されたのか?

 誰が殺したのか?

 それらは、これからポアロが捜査していく訳ですが、殺されたのがラチェットなのは、特に意外性のないことです。

 「やっぱりラチェットが殺されたか」というくらいの印象です。

 

ポアロの捜査 

 犯人捜しをポアロが行うことになるのですが、密室殺人がこの犯罪を難解なものにします。

 先ほど書いた通り、雪で立ち往生した列車内と言う密室。それに加え、ラチェットは部屋の鍵がかかった状態で殺されていたことによる密室。

 ふたつの密室の中で行われた殺人です。

 列車が立ち往生していることにより、外部の応援は期待できない。すなわち、ポアロが独力で解決を図る必要がある。

 そして、列車が立ち往生していることが示す最も重要な事実。それは、犯人が、まだ列車内にいるということです。

 

 犯人を捜すポアロにとって、乗客の聞き取りが最も重要な捜査です。

 このポアロの聞き取り捜査で、乗客の矛盾を突き真実を暴いていくのがポアロの手法に感じます。ただ、手荷物検査を行ったりもします。聞き取りだけでなく、物証も得ようとします。ただ、その物証も乗客の証言の矛盾を探すための手法のひとつとしてでしょう。

 

 この捜査で最も重要な物証が、殺されたラチェットの部屋で燃やされていた手紙に書かれていた文字です。燃え残っていた手紙を火であぶり、決定的な言葉を発見します。それが疑問でした。何故あぶると文字が出てくるのかが、よく分かりません。後ほど、調べましたが。

 

 ポアロの聞き取り調査は、かまをかける手法が多く取られていように感じます。決定的な確証がない事柄をぶつけ、その反応を見る。言葉の一つ一つ・表情など、あらゆる反応をつぶさに観察している様子が、いかにも探偵らしい。

 ただ、この段階では、全く犯人が予想できません。

  

ポアロの推理 

  乗客の聞き取り。残された物証。それらを元に、ポアロが推理します。小さい灰色の脳細胞の働く時です。

 はっきり言って、全く分かりません。今までの聞き取り調査から、綻びを見つけることが出来ません。ポアロの頭の中が全く分からないのです。

 名探偵ゆえに、彼が解くべき謎が大きなものである必要はあります。ただ、その謎が大きいので、読者としては予想がつかないのです。

 ただ、犯人があまりに意外な人物だったということも予想がつかない理由ですが。

 読んでいて、ポアロと一緒に推理していくというよりは、ポアロの推理をただ眺めているだけという感も否めません。

 

 映画を観ているので犯人は知っています。しかし、映像で観るのと文章で読むのでは、やはり違います。今まで読んだ内容から、犯人を推理するのは、やはり難しい。答えが分かっていても、解き方が分からない。そんな印象を受けます。

 

終わりに 

  ポアロは真相を突き止めます。ポアロが推理した真相は、真実なのでしょう。ただ、ポアロは、この事件に対し、ふたつの回答を乗客に提示します。

 回答をふたつ提示。

 とても、奇妙な話です。しかし、そうすることがポアロにとって、唯一取るべき道だったように感じます。

 ポアロは警察でなく探偵です。もちろん、法を犯す者を許さないという信念があるからこそ、真相を追及している訳です。

 そのポアロがふたつの回答を導き出す。それが意味することは、ポアロは探偵である前に、ひとりの人間であったということか。正義の在り方はひとつではないということかもしれません。

 

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