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映画「関ケ原」を観た

 私は、司馬遼太郎氏の書いた「関ケ原」を読んでいません。なので原作との比較は出来ませんが、映画の「関ケ原」を観てどうだったか。その感想を記します。

 実はかなり期待して見に行きました。予告編もかなり迫力でしたし、岡田准一主演 

の作品は「永遠の0」、「海賊とよばれた男」、NHKの大河ドラマ「官兵衛」など見応えのある作品が続いていたからです。ただ、期待したほどではなかったというのが率直な感想です。どちらかと言えばつまらなかった。いくつか理由があります。 

役者の話し方の問題か音響の問題なのか 

 ストーリー以前の問題で、セリフが聞き取れない。半分くらいの台詞が何を言っているのか判別できなかった。近年に建設された映画館なので、映画館の音響のせいではありません。役者の大半で感じたことなので、役者の滑舌でもありません。制作時の録音が悪いのか。言い争うシーンが多く、早口で叫びながらセリフを話します。日本語に聞こえません。会話としても聞こえない。理解できる台詞は、静かなシーンでゆっくりと話している場面だけしかなかった。 

史実に基づいた話なので台詞が分からなくてもストーリーは追えます。しかし、聞き取れないのは、かなりのストレスです。 

 製作者は、この映画を試写した時に聴き取りにくいと思わなかったのでしょうか。脚本を読んでいるから、何を話しているのか事前に分かっているので多少聞きにくくても分かるのでしょう。しかし、初めて観た人が、どのように感じるか想像できなかったのだとしたら残念です。 

ストーリーについて 

 全体的な配分は、関ケ原に至るまでが3分の2、関ケ原の合戦が3分の1といった感じです。時間ではなく内容的なものです。石田三成と徳川家康が、関ケ原の合戦で戦うに至るまでの経緯は2時間の映画の枠内で収まるものではありません。秀吉の死が、石田三成と徳川家康の関係を悪化させていく直接の契機です。しかし、秀吉の死は1598年9月18日。関ケ原は1600年10月21日。実に2年もの期間があります。関ケ原へと進んでいく2年間もの出来事を、たった2時間で表現できないでしょう。 

 重要なのは、何を切り捨てるかです。それは非常に難しい問題ですし、私も答えを持っている訳ではありません。偉そうなことは言えませんが、この映画を観た限りでは関ケ原に至った理由がよく伝わってきません。関ケ原の時点では、石田三成も徳川家康もまだ豊臣家の家臣です。その二人が戦う以外に選択肢がない状況にまで至った理由が、映画からは伝わってこないのです。 

登場人物たちについて 

 戦国武将たちの影が薄すぎて、全く魅力を感じません。両陣営とも多くの有力大名がいます。

  • 三成側は、大谷刑部・小西行長 など
  • 家康側は、福島正則、黒田長政 など

 エピソードもなしでいきなり登場するので、一兵卒並みの印象しか感じません。鍵を握る小早川秀秋も、よく分からない人物設定ですし。途中、一瞬だけ直江兼続が登場しますが、知らない人が見たら「誰?」となりますし、話の内容も全く理解できないでしょう。「登場する戦国武将を知らない人がいない」という前提で作っているのかもしれません。これだけの戦国武将が登場するのに、その魅力を全く伝えていません。 

 次に、有村架純演じる初芽です。原作では重要な役柄であるのかもしれませんが、映画ではあまり存在感を感じません。戦国時代では使い捨てであった忍びを、三成が人として扱ったこと、そして三成の想い人とすることで三成の純粋な人間性を表現したかったのかなと思っていますが。それにしても、存在感が薄すぎる。 

合戦について 

 特に新鮮味のある合戦シーンではありません。もちろん、映画館の大画面で観るので迫力はあります。ただそれだけです。局地戦な戦闘ばかりが目立ちます。槍で突いたり、刀で切りあったり、鉄砲で撃ったりするだけです。関ケ原全体が見えてこないので、それぞれの陣営の戦略が見えてきません。なのでつまらない。

 合戦の醍醐味は戦闘シーンかもしれませんが、関ケ原は三成と家康の戦いです。それぞれが采配を振るい、戦場を支配しようとする駆け引きが重要です。三成も采配を振るいませんし、家康も采配を振るうシーンがあったのか記憶にありません。小早川秀秋がどちらにつくかで勝敗が変わるという戦況が伝わってこないのです。単なる戦闘シーンばかりで、だれてしまいます。 

総評 

 結局のところ、何も印象に残らなかった。関ケ原に至る過程も関ケ原の合戦もどちらも中途半端で、見せ場がなかった。有村架純演じる初芽は忍びなのに肌がきれいでふっくらして、とても忍びに見えない。現代的すぎます。一方、北政所と淀は、当時の化粧なのでしょうか、浮いています。別に普通の顔で良かったのでは。その方が違和感なかった気がします。

 

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